左手に繋がれた点滴の管を引っ張って、車輪のついたベッドに移る
12:30からの予定であったが、約1時間遅れた
白色灯が眩く、埃が舞っているのが分かる。緊張していて何でも目に留まってしまう。そんなことは全身麻酔をしたら忘れてしまうのだろう
看護師にひかれてフロア内を移動し、エレベーターに乗り、1階下の手術室へ向かう
あらゆる振動は車輪を通じてダイレクトに来る
降りる時には無重量状態、ブレーキがかかったと思えば体全体が持ち上げられる感覚がある
9ヶ月ぶりの手術室、激痛に悶えながら入ったあの時と同じ
独特の薬品臭が漂い、こちらはホコリのひとつもない
名前生年月日等の確認作業を済ませさらに奥へ
匂いますます強くなり、オペ室に入ったかと思うと忙しなく点滴の付け替え、ベッドへ移動する
指に脈拍計測器、右腕に血圧計、次いで胸に3箇所シールを貼られると心電図の音がなり始めた
本当に意識を失うのか少し心配に思うのは前回と同じ。意識を失うと体にメスが入るという恐怖じみた実感も前回と同じ。酸素マスクを被せられると、点滴を通して麻酔が注入されてくる
麻酔師が成分で肌がピリピリするとか何とか言っていたが、私としては早く終わらせてほしかったので目を閉じたまま、聞き終わるか終わらないかのうちに意識を手放した
前回は知覚しなかったが、今回は眉間のあたりが痺れる感覚を確かに感じ取ってからの気絶だった
気づいたら自室にいて、看護師もいた。くるぶしの辺りに鈍痛がある。無事に終わったのだろう。朦朧とする意識でどのぐらい寝ていたかと問うと手術が終わって30分寝ていたという。
前回同様何か質問され(傷口の痛さの具合など)、私もなにか質問したが覚えていない。眠くてたまらないので二度寝した。
今こうして再度気がついてスマホを触っているのは15:30前で、移動時間を含めて逆算してもオペの時間は1時間程度だったのではないだろうか。骨に打ちこんだボルトを抜くだけなので、当然といえば当然だ。
看護師が席を外す。1時間後にまた来るという。点滴は繋がれたまま。腹が減った。着替えたい。
ともあれ体から異物は取り除かれたのだ。もうこの過ちは繰り返さない。